手作りごはんはハードルが高い?
栄養バランスが心配、そんな声をよく聞きます。
では、総合栄養食と呼ばれるドッグフードを食べていれば体に必要な栄養はとれていると思いますか?
実は、私たち人間も厚生労働省が勧めているバランスの良い食事というものの目安があります。
犬の世界でいうAAFCO(米国飼料検査官協会)の基準みたいなものですね。
でも、その基準を満たしていれば健康になれるかというと、実はそうではないのです。
バランスの良い食事とはどんなものか見ていきましょう。
現代栄養学 PFCバランスとは?
一日の全摂取カロリーに対するタンパク質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物:(Carbohydrate)の構成比率を示したものです。 タンパク質・脂質・炭水化物は、「三大栄養素」とよばれ、人体にとって特に必要不可欠な成分であるとされています。
ところが、人の体の組成表をみてみると、
水分 60%
タンパク質 20%
脂質 20%
ミネラル 5%
糖質 1%
なんです。
水分を除くと、一番必要なのはタンパク質なんです。
そうなると身体に必要なバランスはこんな風に変わってきます。

タンパク質はなぜそんなに必要なの?
ユダヤ人科学者のルドルフ・シェーンハイマーのネズミを使った実験によると、タンパク質が尿中や大便中に排泄されるのは投与量の29.6%だそうです。
では、残りのタンパク質はどこへ行ってしまったの?
なんと半分以上の56.5%が体を構成するタンパク質の中にとりこまれていたそうです。
特に取り込み率が高いのは、腸壁、腎臓、脾臓、肝臓などの臓器と血清だそうです。
各組織の細胞が死んで新しい細胞に入れ替わるターンオーバーにタンパク質は欠かせないものなんです。
各組織のターン―オーバーにかかる日数
胃の粘膜 3日
腸の微絨毛 1日
子宮 30日
肝臓 96%1ヵ月 1年ですべて
腎臓 90%1ヵ月 1年ですべて
筋肉 90%1ヵ月 200日ですべて
血液 120日
骨 3年
皮膚 10代 20日 60代 100日
悲しいかな、皮膚のターンオーバーについては実感されている人も多いと思います。
若い頃は日焼けをしても秋には元に戻っていたのに・・・
加齢とともに、日焼けの跡も冬まで続いている。
なんてことを経験したことないですか?
傷の跡が治りにくいとか・・・・
それもこれも低タンパク食が続くと、さらに加速してしまいます。
また、タンパク質が不足すると骨が弱くなりますので、高齢者で腰が曲がっているのはタンパク質が不足しているからだそうです。
つまり、低タンパク食が長く続くと、体のあちこちに影響が出てくるのです。
高タンパク食を勧める理由
ここからは犬の話です。
私がおススメしている犬の生食。
犬本来の理想の食餌になるべく近づけたものですが、タンパク質の割合は多いです。
内臓や骨も入れて食餌の80%を肉類でまかなっています。
全身被毛で覆われた犬たちには人よりもタンパク質が必要ではないでしょうか?
上の表をそのまま犬に当てはめているわけではありませんが、犬の体に必要な栄養バランスというのもあるんです。
その中に、穀類は含まれていません。
食べても皮下脂肪として蓄えられることが多いと思います。
また、肉食は腎臓に負担がかかるなんて都市伝説がまことしやかにささやかれていますが、その腎臓もタンパク質でターンオーバーしているのです。
材料が不足するとどうなるか・・・・想像がつきますね。
犬にとっての良質なタンパク質
アミノ酸スコアというのをご存知でしょうか。
タンパク質の栄養価を表わす指標のことです。

理想的なアミノ酸バランスとは、図の右側のように必須アミノ酸がバランスよく含まれている状態です。
アミノ酸スコアが100に近いほど、犬にとっても良質なタンパク質となります。
でも、実は落とし穴も。
大豆のアミノ酸スコアも100なんです。
でも、犬にとって植物性のタンパク質は体が利用しにくいものですので、同じアミノ酸スコアが100でも、動物性のタンパク質をおすすめします。
