愛犬の歯周病でお悩みの飼い主さん。
歯周病の原因を考えたことはありますか?
歯みがきをしていない。
これが要因の多くを占めているかもしれませんね。
犬に与えている食事。
これも要因のひとつだと思います。
人の場合は炭水化物(糖類)の摂取が多いのも歯周病の原因と言われています。
なかには、糖質制限食をしていればこの世の中から虫歯と歯周病はなくなる(!)とまで言っている歯科医師の方もいるようです。
では、毎日の主食が炭水化物中心のドライフードの犬たちも歯周病が進行しやすいのでしょうか?
そんな研究をされている獣医さんがいました。
動物のエサの違いが歯や歯の周囲に与える影響について、自然食(動物本来のエサであったと思われる獣肉骨)と通常のドッグフードを与えて、歯周病の原因となる歯垢、歯石の付着、歯肉溝の炎症を比較したものです。
結果は、ドライフードよりも自然食の方が、歯周病の予防ができるということでした。
歯石はなぜできるのか
犬の歯石除去で頭を悩ませている方もいますね。
一時期、世間では麻酔下での歯石除去での麻酔によるリスクを懸念して、無麻酔による歯石除去が流行したこともありました。(現在でも行っているとろこはあると思います)
犬はその口の特性により人よりも歯石になりやすいということがあります。
歯石というのは歯の表面に付着している細菌や糖、糖タンパクなどにより形成された歯垢に唾液中のカルシウムやリンが沈着し石灰化されたものです。
故に、唾液腺の開口部は歯石になりやすいということが言えます。
実は、歯石は細菌などの死骸の塊であって、歯石自体が悪さをするわけではありません。
歯石が付着すると、表面がザラザラしているので、その表面にさらに歯周病の原因となる最近が付着しやすい、というデメリットがあります。
食べ物による歯石の付き方に違いはある?
この研究を行った獣医さんの実験によると、自然食(獣肉骨)とドライフードを食べた犬では、自然食を食べた犬の方が歯周病の予防につながったと言っています。
肉眼的にも自然食を食べていたグループでは10週経過時点でも歯石の沈着は認められず、歯垢の付着時期についても、遅延していたということです。
顕微鏡による観察では、歯肉溝の付着に差が見られ、病理学所見でもドライフードを食べていたグループでは、強い炎症細胞の浸潤が認められたということです。
つまり、獣肉骨を与えることが歯周病の主な要因とされる歯垢、歯石の付着を抑制することができ、それが歯肉の炎症も抑制できることに繋がるということです。
獣肉骨は咀嚼の回数を増加させ、唾液の分泌を促進し、咀嚼時のエサの物性によって歯の清掃と歯肉のマッサージが行われた結果、炎症をおこさせる要因の抑制がされたということらしい。
そう言われてみると、確かにドライフードは丸呑みに近いが、獣肉骨はある程度大きさがあると、犬はしっかり噛んで食べている。
我が家では、フルーツはごはんと一緒に与えず、食後に与えています。
(その方が本犬が満足するようなので。ごはんのあとにもお楽しみがあると思っているようだ。)
確かに、リンゴなどを与えるとシャリシャリ良い音をさせて食べている。
実験の結果は、犬本来の食べ物を本来の役割の歯が行っている限り、歯周病も起きにくいということのようです。
歯周病を予防するために
私は、犬にも歯みがきをしっかりしていれば、歯周病はある程度予防できる病気だと思っています。
ただし、犬の場合、一度歯周病が発生してしまうと、人のように細かいところまでしっかりブラッシングするということは不可能なので、なかなか食い止めることは難しいように思います。
それでも、歯みがきを行うことで、表面的な炎症を抑えることは可能なので、腫れたりすることもなく、自然脱落という自然に抜け落ちる状態に持っていくことは可能です。
それだけでも、犬にとって負担が少ないと思います。
また、歯みがきと同時に、食事も犬本来のものに変えてあげると、さらに歯周病予防に対する効果が高まるのではないでしょうか。
参照:ペット栄養学会誌2002年5巻